「育休を取ると、収入はどうなるの?」
「手取りがなるべく減らないような育休の取り方を知りたい」
この記事はそんな疑問や悩みを抱えた方に向けて、実際に育児休暇を取得したことのある私が、金銭面でなるべく損をせずに育休を取るために考慮すべきポイントをお伝えします。
注目すべきは育休を取る日数と育休の開始及び終了タイミングです。
- 育休期間を最小限にする
- 社会保険料免除対象月を増やす
- ボーナス月を社会保険料免除対象にする
上記のポイントを提示した背景、理由を理解していただくために、育休期間中の収入や税金について、どうなるのかを詳しく解説します。
育休期間の収入や税金はこうなる
給料
会社から支給される給料は残念ながら0になります。こちらは日割り計算されるので、休暇を取った日数分だけ減額されます。
従って育休期間を最小限にすることで、減額分を抑えられます。
ボーナス(賞与)
ボーナスは会社の規定をしっかりと確認していただきたいですが、一般的には出勤率をかけて算出するところ多いかと思います。
従ってボーナスも育休期間を最小限にすることで減額分を抑えられます。
育児休業給付金
育休期間中は会社から給料が出ない代わりに、育児休業給付金がもらえます。
育児休業給付金は非課税です。
育休取得から6ヶ月までは給料の額面の67%が支給されます。6ヶ月以降は50%になります。
育児休業給付金の受給資格は下記の通りです。
育児休業給付の受給資格は、育児休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12か月(※)以上必要となります。
なお、育児休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12か月(※)ない場合であっても、当該期間中に第1子の育児休業や本人の疾病等がある場合は、受給要件が緩和され、受給要件を満たす場合があります。ただし、育児休業開始時点において、有期雇用労働者(契約期間の定めのある方。以下同じ。)の場合は、別途要件(問3参照)があります。
(※)育児休業開始日の前日から1か月ごとに区切った期間に賃金支払いの基礎となった日数が11日ある月を1か月とする。
(引用)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158500.html
所得税
給料が入らなかった分だけ支払いは免除されます。
今回の記事では収入をなるべく減らさないようにするための方法を紹介しているので、所得税はあまり減らない方向になります。ここでは所得税がこうなるということだけ頭の片隅に入れていただければ大丈夫です。
住民税
住民税は前年の収入に応じてかかる税金なので、変わらずかかります。
ただし、育休期間中は会社からの給料が出ませんので、育休を取得した年の年収が下がる場合は、育休を取得した翌年の住民税が安くなります。
住民税も所得税と同様にあまり減らない方向になるので、住民税がこうなるということだけ頭の片隅に入れていただければ大丈夫です。
社会保険料
育休取得によって社会保険料は免除されます。社会保険料は日割りではなく月単位で計算されます。
そして、社会保険料は給料にかかるものとボーナスにかかるものの2種類があることを頭に入れてください。
2022年10月1日を境にそれぞれに対する免除の考え方が変わりますので、その前後でどう変わるのかも含めて解説します。
2022年9月30日までの考え方
社会保険料は月の最終日に育休を取得した場合、その月の社会保険料が免除されます。・・・①
例えば6月に育休を取得する場合、6/1~6/14まで育休を取得しても社会保険料は免除されません。
6/30に1日だけでも取得すれば6月の社会保険料は免除されます。
2022年10月1日以降の考え方
月末に取得すれば社会保険料が免除されるというこれまでの考え方に加えて、下記2点が追加されます。
1. 月末を含まない場合は14日以上の取得で免除対象になる。・・・②
例えば、2022年9月30日までは免除対象外だった6/1~6/14までの取得でも免除対象になります。
2. ボーナスに対する社会保険料の免除はボーナス月に対して、上記①もしくは②を満たし、さらに育休期間が1ヶ月超え(1ヶ月以下は不可)であること
例えば6月にボーナスが入る場合、下記の2パターンは6月が社会保険料の免除対象になり、ボーナスの社会保険料の免除対象になります。
ここで、育休終了日について注意していただきたい点があります。
社会保険料免除の要件の定義は下記のようになります。
この定義はちょっと理解しづらいので、どうすれば良いのか簡単に言うと、育休終了日の翌日が翌月の平日になるように取るようにしてください。
6月分の社会保険料を免除しようとしたときの具体例を挙げます。
ポイントを踏まえた具体的な育休取得の例(6月にボーナスが支給される場合)
2022年9月30日まで
パターン①:6/30のみ
社会保険料免除:6月給料分、ボーナス
育休日数:1日
給料の減額が1日のみなので、めちゃめちゃプラスになる2022年9月30日までで一番得する最強の取り方
パターン②:5/31~6/30
社会保険料免除:5, 6月給料分、ボーナス
育休日数:31日
パターン③:5/31~7/31
社会保険料免除:5, 6, 7月給料分、ボーナス
育休日数:62日
2022年10月1日以降
パターン①:5/31~7/1
社会保険料免除:5, 6月給料分、ボーナス
育休日数:32日
2022年10月1日以降、最もダメージの少ない取り方
パターン②:5/31~7/14
社会保険料免除:5, 6, 7月給料分、ボーナス
育休日数:45日
2022年10月1日以降であれば7月の社会保険料を免除するためには7月末まで育休を取得する必要がなくなるため、育休日数を減らして給料の減額を抑えることができます。
上記の具体例はあくまで育児休暇としての日数です。
育休は有休と組み合わせることによって、実質的な育休期間を確保することも可能です。
なるべく損を減らしつつ、実質的な育休期間を最大限確保できるような工夫も検討してみても良いと思います。
まとめ
- 育休期間を最小限にする
- 社会保険料免除対象月を増やす
- ボーナス月を社会保険料免除対象にする
この記事では育休になるべく損をしない育休取得方法について紹介しましたが、育休の本来の目的を見失っては本末転倒です。
この記事を参考にしつつ、ご家族や職場の方と相談しながら、本来の目的を達成するために、適切な期間、タイミングで育児休暇を取得していただければ幸いです。
育休取得を検討している男性の方は、こちらの記事も参考にしてみて下さい。
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